個人出版に良くないイメージをお持ちの方もおられるかも知れません。そもそもこの出版方法が、詐欺だから気を付けろというようなことが言われるようになったきっかけは、既に倒産・廃業した数社の悪質な自費出版商法によるものです。
手口としてはコンテストで絵本や小説を募集、惜しくも落選したということにして「このまま埋もれさせるのはもったいない」と著者に連絡して自費出版を勧めるものです。
コンテストは事実上ただの客集めだったわけで、応募した人全てに同様の電話を掛けていたということです。
自分の作品がプロの目に留まったと喜ばせて高額な出版料金を請求する、人間心理をついた実に巧妙で卑劣な手口だといえるでしょう。しかし、それだけでは収まらなかったのです。
誰でも自分の作品がプロの編集者の目に留まったと思えば嬉しいものですが、だからといって数百万円の自費出版料金をポンと出せるものでも有りません。
この事例の出版社では、金額を聞いてためらう客を逃さないために「全国数百の書店にあなたの本が置かれる」などということまで言い出したのです。
全国の書店に自分の本が置かれるというのは、本を出版したいと考える人にとって何よりの魅力です。このために多くの人がこの商法の犠牲になってしまいました。
もちろん全国の数百の書店に本が置かれるというのは嘘だったのです。楽しみに書店を訪れて自分の本を探しても見つからず、書店主に聞いてみると取り寄せもできない。
出版社に文句を言うとその人の近所の書店だけに本が置かれ、何度目かに苦情の電話をすると脅かされたりもしたようです。こうなると出版社とも言えないような悪質な会社だったとしか言えません。
悪質な詐欺商法で告発された出版社数社はすでに倒産したり廃業で姿を消しました。
大きく報道されたために似たような手口で自費出版を呼びかけていた出版社も襟を正したので、今は以前のような非常識な自費出版詐欺事件は起こりにくくなりました。
だからといって根絶されたわけではなく、違法すれすれくらいの商法はまだまだ存在するようですので、自費出版の契約を結ぶ際には目先の欲ではなく根拠ある信頼感に基づいた契約が必要だといえるでしょう。